「高市、用意しとけ」次の総裁選に向けた麻生氏の助言が話題になっています。そんな中、次期総裁候補として高市早苗氏の政策に注目が集まっています。保守派として知られる高市氏は、どのような政策ビジョンを掲げているのでしょうか。本記事では、高市氏の主要政策をまとめ、その特徴や課題について徹底的に分析・解説します。

もう石破の次？高市早苗の政策をまとめて検証

1. 高市早苗氏の政策ビジョン概要

高市早苗氏は、「日本列島を、強く豊かに。」をキャッチフレーズに掲げ、総合的な国力の強化を通じて日本の未来を切り開くビジョンを示しています。

その核心は、「外交力」「防衛力」「経済力」「技術力」「情報力」「人材力」の6つの要素からなる「総合的な国力」の強化にあります。

高市氏は、これらの力を相互に高め合うことで、日本の国際的地位を向上させ、国民の安全と繁栄を実現することを目指しています。特に、経済成長を最重要課題と位置づけ、積極的な財政出動を通じて「強い経済」の実現を図る姿勢を明確にしています。

2. 高市早苗の経済政策：「強い経済」実現への道筋

2.1 積極財政路線の推進

高市氏の経済政策の特徴は、積極的な財政出動を通じて経済成長を促進する点にあります。具体的には、「戦略的な財政出動」という表現を用いて、様々なリスクを最小化し、先端技術を開花させるための投資を行うことを提唱しています。

このアプローチは、いわゆるアベノミクスの路線を踏襲するものと言えますが、高市氏独自の視点も盛り込まれています。特に、経済安全保障の観点から、以下の5つの分野に重点を置いた投資を行うことを提案しています。

これらの分野への投資は、単なる経済成長だけでなく、国家の安全保障にも寄与するという点で、高市氏の政策の特徴を表しています。

2.2 財政健全化との両立

一方で、積極的な財政出動を主張する高市氏の政策には、財政健全化との両立という課題が存在します。日本の公的債務残高はGDP比で200%を超えており、これ以上の財政悪化を懸念する声も少なくありません。

高市氏は、この点について「戦略的な財政出動は、雇用と所得を増大し、消費マインドを改善し、税率を上げずとも税収を増やす」と主張しています。

つまり、経済成長を通じて税収を増やし、結果として財政健全化にもつながるという論理です。高市氏の積極財政路線は、長年低成長に悩む日本経済に新たな活力をもたらす可能性を秘めています。

高市氏は「戦略的な財政出動」を通じて経済成長を促進し、「強い経済」の実現を目指しています。この政策には、日本の財政状況に関する重要な視点が含まれています。

高市氏は、日本の財政状況について「資産を合わせて見たネットで見ていくとＧ７（主要７カ国）の中でも上から２番目で良好」と指摘しています6。これは、単に公的債務残高だけでなく、国の資産も含めた総合的な視点から財政状況を評価する必要性を強調するものです。

実際、日本はG7の中でも純資産比率が高い国の一つです。IMFのデータによると、日本のGDPに対する純負債比率は18%に過ぎず、G7平均の22%よりも低くなっています5。また、日本は世界最大の債権国であり、対外純資産は約400兆円に達しています。

さらに、日本の政府債務のほぼすべてが円建てであることも重要な点です。これにより、海外通貨建ての債務を抱える国々とは異なり、日本政府は債務返済の柔軟性を持っています5。

高市氏の政策は、このような日本の財政状況の特徴を踏まえた上で、経済成長を通じて税収を増やし、「税率を上げずとも税収を増やす強い経済を支援する」ことを目指しています6。

ただし、この政策アプローチについては、経済学者や専門家の間でも意見が分かれています。積極財政を支持する意見がある一方で、長期的な財政の持続可能性に関する慎重な見方も存在します2。

高市氏の政策が実現した場合、経済成長と財政の持続可能性のバランスをどのように取るのか、そしてその効果をどのように測定し、必要に応じて軌道修正を行っていくのか。これらの点について、より具体的な道筋を示すことが、国民の理解と支持を得る上で重要になるでしょう。

2.3 金融政策

現在の日本銀行の金融政策と、高市氏が総裁に選出された場合の政策変更の可能性について、 日銀の現在の金融政策と、高市政権が実現した場合の金融政策を比較して見てみましょう。

現在の日本銀行の金融政策

1. 政策金利：
   日本銀行は2024年7月の金融政策決定会合で、短期政策金利を0.25%程度に引き上げました1。これは、長期にわたるマイナス金利政策からの脱却を意味しています。
   
   
2. 長期国債買入れ：
   同会合で、長期国債買入れの減額計画も決定されました。2026年1～3月までに月間の買入れ予定額を3兆円程度まで段階的に減額する方針です1。
   
   
3. 今後の方針：
   植田日銀総裁は、経済・物価の見通しが実現していけば、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく方針を示しています5。
   
   
4. 慎重な姿勢：
   ただし、アメリカ経済の動向や金融市場の不安定さを考慮し、「すぐに利上げだということにはならない」と慎重な姿勢も示しています5。

高市氏が総裁に選出された場合の政策変更の可能性

1. 利上げへの慎重姿勢：
   高市氏は「金利を今、上げるのはあほやと思う」と発言しており3、日銀の利上げに対して強く反対する姿勢を示しています。総裁就任後も、この立場を維持する可能性が高いでしょう。
   
   
2. 金融緩和の継続：
   高市氏は、個人消費や企業の設備投資への悪影響を懸念し、「長いデフレに戻る不安がある」と指摘しています3。これは、金融緩和政策の継続を支持する立場と解釈できます。
   
   
3. 日銀の独立性への影響：
   高市氏の強い主張は、日銀の独立性に影響を与える可能性があります。法律上、日銀の独立性は保証されていますが、政治的な圧力が強まる可能性があります4。
   
   
4. 財政政策との連携：
   高市氏は「戦略的な財政出動」を主張しており8、これと整合的な金融政策を日銀に求める可能性があります。具体的には、財政拡大を支援するための金融緩和の継続や、国債買入れの維持などが考えられます。
   
   
5. 物価目標の解釈：
   高市氏は、現状の物価上昇が外的要因によるものであり、2%の物価安定目標が「達成できているとは言えない」と指摘しています8。この見方に基づき、金融緩和の継続を正当化する可能性があります。
   

結論として、高市氏が総裁に選出された場合、現在の日銀が模索している金融正常化の動きは大幅に減速または停止する可能性が高いと考えられます。

財政拡大と金融緩和の組み合わせによる経済成長戦略が追求される可能性が高く、これは現在の日銀の方針とは異なる方向性となるでしょう。

2. 高市早苗の安全保障政策：「総合的な国力」強化の取り組み

2.1 防衛力の強化

高市氏の安全保障政策の特徴は、従来の枠組みにとらわれない「総合的な国力」の強化を目指している点です。特に、防衛力の強化については具体的な提案を行っています。

これらの領域への対応強化について、簡潔に説明いたします：

1. 宇宙・サイバー・電磁波領域への対応強化

• 宇宙：人工衛星を使った情報収集や通信能力の向上
• サイバー：コンピューターネットワークの防御と攻撃能力の強化
• 電磁波：敵の通信妨害や、自国の通信保護能力の向上

2. 無人機や極超音速兵器への対策

• 無人機：AIを活用した探知・迎撃システムの開発
• 極超音速兵器：従来のミサイル防衛では対応困難なため、新たな探知・追跡・迎撃技術の開発

3. 自律型AI兵器への対応

• AIが自律的に標的を選択・攻撃する兵器システムへの対策
• 人間の判断を介在させる仕組みの維持
• 国際的な規制の枠組み作りへの参加

これらの対応は、急速に進化する軍事技術に追いつき、日本の防衛力を現代の脅威に適応させることを目的としています。そして、これらの新たな戦争の態様に対応できる国防体制の構築を目指しています。

また、非核三原則については「持ち込ませず」の部分について議論の必要性を示唆しており、核抑止力の在り方についても再検討する可能性を示しています。

3. 高市早苗の外交政策

高市早苗氏の外交政策は、「自由で開かれたインド太平洋」構想を中心に据えつつ、より積極的で主体的な日本の外交姿勢を打ち出しています。具体的には以下のような特徴があります：

1. 米国との関係強化

• 「自由で開かれたインド太平洋」構想に米国を強く関与させ続けることを日本の責任と位置付けています。
• 日米同盟を基軸としつつ、日本自身の防衛力強化も重視しています。

2. 同盟国・同志国との連携

• QUAD（日米豪印）やASEANなど、価値観を共有する国々との協力関係を深化させる方針です。
• 特に台湾に関しては、TPP加盟やWHO総会へのオブザーバー参加を支援する姿勢を明確にしています。

3. 中国への対応

1. 毅然とした態度:
   高市氏は中国に対して、人権問題や領土問題について「主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求める」姿勢を示しています。特に、ウイグル、チベット、モンゴル、香港などの人権問題について積極的に発言する方針です。
   
   
2. 経済的・軍事的威圧への対応:
   中国による経済的・軍事的威圧に対しても毅然とした態度で臨む方針を示しています。特に、経済安全保障の観点から、中国への過度の依存を減らす政策を推進しようとしています。
   
   
3. 尖閣諸島問題:
   高市氏は尖閣諸島について「まぎれもなく日本国の領土」と明言しています。中国の海警法制定に対する懸念を表明し、海上保安庁法の改正を通じて、必要に応じて自衛隊と共同で対応する体制を整えることを提案しています。
   
   
4. 経済安全保障の強化:
   中国からの技術流出を防ぐため、研究セキュリティの徹底や不正競争防止法の活用を重視しています。また、「対日外国投資委員会」の設置を提案し、中国などの懸念国からの投資を精査する体制を整えようとしています。
   
   
5. 同盟国・同志国との連携:
   中国に対抗するため、QUAD（日米豪印）やASEANなど、価値観を共有する国々との協力関係を深化させる方針を示しています。特に台湾に関しては、TPP加盟やWHO総会へのオブザーバー参加を支援する姿勢を明確にしています。
   
   
6. 戦略的互恵関係の維持:
   一方で、高市氏は中国との「戦略的互恵関係」を維持する必要性も認識しています。完全な対立関係ではなく、経済面での協力も視野に入れた現実的なアプローチを取ろうとしています。
   

これらの政策は、中国に対して強い姿勢を示しつつも、完全な対立は避けるバランスの取れたものと言えます。高市氏の安全保障政策の中で、中国への対応は最も注目される部分の一つであり、彼女の保守的な外交姿勢を象徴するものとなっています。

4. 北朝鮮問題

• 拉致問題解決のため、首脳会談の実現を目指しています。
• 同盟国との連携を強化し、核・ミサイル問題にも対応する方針です。

5. 経済安全保障の強化

• 防衛装備品の共同開発・移転を核とした「安全保障外交」を推進します。
• 研究セキュリティの徹底や、不正競争防止法の活用など、技術流出防止策も重視しています。

6. 国際機関での活動

• 国連安全保障理事会の改革に向けた行動を取る方針です。
• 日本の常任理事国入りを目指す姿勢も示唆されています。

7. 領土問題

1. 国際社会への積極的な発信:

• 高市氏は竹島を「歴史的にも明確に日本国の領土」と明言しています1。
• 国際社会に向けて、日本の領有権の正当性を積極的に発信する方針を示しています。
• 特に、歴史的経緯が他国に伝わりにくいという認識から、より分かりやすい情報発信を重視しています。

2. NHK国際放送の活用:

• NHKの国際放送を積極的に活用し、竹島や北方領土が日本の領土であることを継続的に伝える方針です1。
• これにより、国際社会における日本の立場の理解促進を図ります。

3. 教育を通じた国民の意識向上:

• 学校教育の場で、日本が直面している領土問題の概要、日本が帰属を主張する根拠となっている条約や歴史的経緯について、しっかりと学ぶ機会を設けることを提案しています2。
• これにより、国民世論の形成と支持の獲得を目指しています。

4. 具体的な対応策:

• 竹島に関しては、「これ以上、韓国に構造物を作らせない対応が重要」と述べており、実効支配の強化を阻止する姿勢を示しています1。
• 北方領土については、内閣府の北方領土担当大臣としての経験を活かし、「国民世論の啓発」と「旧島民・漁業権者等の支援」を重視しています2。

5. 地方自治体との連携:

• 島根県などの地方自治体が行っている「竹島の日」記念式典のような取り組みを支持し、中央政府と地方自治体が連携して領土問題に取り組む姿勢を示しています3。

6. 研究の推進:

• 竹島問題研究所などの研究機関の活動を支持し、学術的な観点からも日本の領有権の正当性を裏付ける方針です3。

これらの政策は、領土問題に関する日本の立場を国内外に強く発信し、国民の理解と国際社会の支持を得ることを目指すものと言えます。高市氏は、教育、メディア、研究、外交など多角的なアプローチを通じて、領土問題に取り組む姿勢を示しています。

8. 靖国神社参拝:

• 総理大臣就任後も参拝する意向を明確に示しています。

これらの政策は、安倍政権の外交路線を基本的に継承しつつ、より積極的かつ主体的な日本の役割を模索するものと言えます。特に経済安全保障や人権問題への言及、同盟国・同志国との連携強化など、現在の国際情勢を反映した要素が多く含まれています。

4. 高市早苗の経済安全保障の考え方

高市氏の安全保障政策のもう一つの特徴は、経済安全保障を重視している点です。経済安全保障担当大臣としての経験を生かし、以下のような政策を提案しています。

1. 情報保全強化のための「セキュリティー・クリアランス（適性評価）」制度の創設
2. 懸念国からの投資を精査する「対日外国投資委員会」の設置
3. サイバーセキュリティ対策の一元的な責任と権限を担う機関の設置

これらの政策は、経済活動と安全保障を密接に関連付けるものであり、高市氏の政策の特徴を表しています。

5. 高市早苗の社会保障政策：全世代型社会保障の実現

5.1 「全世代の安心感」の創出

高市氏は、「全世代の安心感」を日本の活力につなげる政策を掲げています。具体的には以下のような方針を示しています。

1. 経済的事情による進学断念をなくす
2. 結婚や出産・子育ての希望を諦めさせない
3. 介護離職等でのキャリア中断を防ぐ
4. 更年期や高齢期特有の不調、障害や難病による社会活動の制限を減らす
5. 在職老齢年金制度の見直しなど、働く意欲を阻害しない制度設計

これらの政策は、少子高齢化が進む日本社会の課題に対応しようとするものです。特に、若年層から高齢者まで、全ての世代が安心して生活できる社会の実現を目指しています。

5.2 女性の健康支援

高市氏は特に女性の健康支援に力を入れており、「『女性の健康』ナショナルセンター機能の構築」など具体的な施策を提案しています。これは、女性の社会進出を促進し、少子化対策にもつながる政策と言えるでしょう。

5.3 社会保障制度の持続可能性

一方で、これらの社会保障政策を実現するための財源確保が課題となります。高市氏は積極財政を主張していますが、社会保障費の増大は財政健全化の大きな障害となる可能性があります。高市氏の政策が実現した場合、社会保障制度の持続可能性をどのように確保するのか、具体的な道筋を示す必要があるでしょう。

6. 高市早苗の憲法改正と皇室典範に関する方針

6.1 憲法改正への強い意欲

高市氏は「憲法改正を実現するために政治家になった」と公言するほど、憲法改正に強い意欲を示しています。具体的には、技術革新や安全保障環境の変化など時代の要請に応える「新しい日本国憲法」の制定を目指しています。憲法改正の具体的な内容については詳細を明らかにしていませんが、安全保障環境の変化に対応するための9条改正や、緊急事態条項の追加などが想定されます。

6.2 皇室典範改正の主張

高市氏は「皇統」を守るために「皇室典範」の改正も主張しています。これは、皇位継承問題に対する高市氏の立場を反映したものと言えるでしょう。ただし、憲法改正や皇室典範改正は国民的な議論が必要な課題です。高市氏の主張は保守層の支持を集める一方で、リベラル派からの反発も予想されます。これらの改正を実現するためには、幅広い国民の理解と支持を得る必要があるでしょう。

7. 高市早苗の行政改革案：「令和の省庁再編」

7.1 新たな省庁体制の提案

高市氏は「令和の省庁再編」と銘打って、新たな省庁体制を提案しています。具体的には以下のような改革を掲げています。

1. インテリジェンス関係省庁の司令塔としての「内閣情報局」の設置
2. 最高意思決定機関として閣僚からなる「内閣情報会議」の設置
3. 懸念国からの投資を精査する「対日外国投資委員会」の設置
4. 能動的サイバー防御やセキュリティ対策に一元的な責任と権限を担う機関の設置
5. 復興庁設置法の改正による全国各地の復興にも携われる機関への強化
6. 「情報通信省」や「環境エネルギー省」への改編

これらの提案は、高市氏が重視する経済安全保障や情報政策、環境・エネルギー政策などの分野で、より効果的な政策立案と実行を可能にすることを目指しています。

7.2 行政改革の課題

一方で、このような大規模な省庁再編には課題も存在します。まず、再編に伴う混乱や非効率の可能性があります。また、新たな組織の設置には予算が必要であり、財政面での影響も考慮する必要があります。

さらに、省庁再編によって本当に政策の効果が高まるのか、慎重な検討が必要でしょう。過去の省庁再編の経験から学び、真に効果的な行政体制を構築することが求められます。

8. 高市早苗氏の政策の特徴と分析

8.1 保守派としての立場の反映

高市氏の政策全般に共通するのは、保守派としての立場が色濃く反映されている点です。憲法改正や皇室典範改正への意欲、靖国神社参拝への前向きな姿勢などは、その表れと言えるでしょう。

この立場は、保守層からの強い支持を集める一方で、中道層や野党との調整を困難にする可能性があります。高市氏が総裁に選出された場合、幅広い支持をどのように獲得するかが課題となるでしょう。

8.2 経済安全保障重視の姿勢

高市氏の政策のもう一つの特徴は、経済安全保障を重視している点です。経済安全保障担当大臣としての経験を生かし、経済と安全保障を密接に関連付けた政策を打ち出しています。この姿勢は、米中対立が激化する国際情勢の中で、日本の立ち位置を明確にするものと言えるでしょう。一方で、中国との経済関係をどのようにバランスを取るかという課題も存在します。

8.3 積極財政路線の是非

高市氏の主張する積極財政路線は、経済成長を促進する可能性がある一方で、財政健全化との両立が課題となります。過去に岸田首相の防衛費増税案に異を唱えたことからも、財源確保の方法については慎重な検討が必要でしょう。また、金融政策との整合性も問題となる可能性があります。日銀の金融政策正常化の動きと、高市氏の積極財政路線がどのように調和するのか、注目される点です。

9. 他の主要政治家との政策比較

高市氏の政策は、安倍路線の継承を強く打ち出している点が特徴的です。他の候補と比較すると、以下のような違いが浮かび上がります。

9.1 石破茂首相との比較

現在の石破内閣と高市氏の政策には、いくつかの重要な相違点があります。

1. 経済政策：石破首相が財政健全化を重視しているのに対し、高市氏はより積極的な財政出動を主張しています。
2. 安全保障政策：両者とも防衛力強化を主張していますが、高市氏はより踏み込んだ提案（非核三原則の見直しなど）を行っています。
3. 憲法改正：石破首相が慎重な姿勢を示しているのに対し、高市氏はより積極的に改正を推進しようとしています。
4. 地方創生：石破首相が地方創生を重要政策として掲げているのに対し、高市氏は全国的な経済成長をより重視しています。

9.2 岸田文雄前首相との比較

岸田前首相が掲げていた「新しい資本主義」に対し、高市氏は積極財政路線をより鮮明に打ち出しています。岸田氏が分配政策を重視していたのに対し、高市氏は成長戦略により力点を置いていると言えるでしょう。また、安全保障政策においても、高市氏はより積極的な姿勢を示しています。特に、非核三原則の見直しや防衛費のGDP比2%以上への増額など、岸田氏よりも踏み込んだ主張を展開しています。

9.3 河野太郎氏との比較

河野氏が行政改革や規制緩和を重視するのに対し、高市氏は経済安全保障や積極財政をより強調しています。また、原子力政策においても、河野氏が脱原発を主張するのに対し、高市氏は原子力の活用を支持しています。憲法改正についても、高市氏がより積極的な姿勢を示しているのに対し、河野氏は慎重な立場を取っています。

10. 高市早苗氏の政策実現可能性と課題

10.1 党内支持の獲得

高市氏の政策実現には、まず党内からの支持獲得が鍵となります。保守派からの強い支持が期待される一方で、党内の中道派や穏健派との調整が課題となるでしょう。特に、積極財政路線や憲法改正などの主要政策については、党内でも意見が分かれる可能性があります。

10.2 国民の理解と支持

高市氏の政策の多くは、国民的な議論が必要な大きな改革を含んでいます。特に憲法改正や皇室典範改正、非核三原則の見直しなどは、国民の間でも意見が分かれる可能性が高いテーマです。これらの政策を実現するためには、丁寧な説明と幅広い国民の理解を得ることが不可欠です。

10.3 国際社会との関係

高市氏の安全保障政策や経済安全保障政策は、国際社会、特に近隣諸国との関係に影響を与える可能性があります。例えば、防衛力の強化や非核三原則の見直しは、中国や韓国との関係に緊張をもたらす可能性があります。一方で、「自由で開かれたインド太平洋」構想の推進は、米国やオーストラリア、インドなどとの関係強化につながる可能性もあります。

11. 専門家の見解：高市政策の評価と展望

高市氏の政策については、専門家の間でも評価が分かれています。以下、いくつかの主要な見解を紹介します。

11.1 経済政策に関する評価

経済学者の間では、高市氏の積極財政路線に対する評価が分かれています。ある経済学者は「デフレ脱却と経済成長のためには、積極的な財政出動が必要」と高市氏の政策を支持しています。

一方で、別の経済学者は「財政規律を無視した政策は長期的には持続不可能」と警鐘を鳴らしています。また、経済安全保障政策については、多くの専門家がその重要性を認めています。

ある安全保障専門家は「経済と安全保障の一体的な取り組みは時代の要請」と評価しています。

ただし、具体的な実施方法については意見が分かれており、「過度の規制は経済活動を阻害する可能性がある」との指摘もあります。

11.2 安全保障政策に関する評価

安全保障政策については、高市氏の積極的な姿勢を評価する声が多い一方で、慎重論も存在します。ある防衛専門家は「新たな脅威に対応するための防衛力強化は不可欠」と高市氏の政策を支持しています。

一方で、別の国際政治学者は「過度の軍事力強化は周辺国との緊張を高める可能性がある」と警告しています。非核三原則の見直しについては、特に意見が分かれています。「核抑止力の観点から議論の余地がある」という意見がある一方で、「非核三原則は日本の外交の基本方針であり、見直しは慎重であるべき」という意見も強くあります。

11.3 憲法改正に関する評価

憲法学者の間では、高市氏の憲法改正への積極的な姿勢に対して様々な意見があります。ある憲法学者は「時代の変化に応じた憲法の見直しは必要」と高市氏の主張に理解を示しています。

一方で、別の憲法学者は「現行憲法の理念を尊重しつつ、解釈や立法で対応すべき」と慎重な立場を取っています。

12. まとめ：高市早苗氏の政策が日本の未来に与える影響

高市早苗氏の政策ビジョンは、「強い日本」の実現を目指す保守色の強いものと言えます。経済成長と安全保障の強化を両輪とし、憲法改正や社会保障制度の見直しなど、大胆な改革を提案しています。

これらの政策が実現すれば、日本の政治・経済・社会に大きな変化をもたらす可能性があります。経済面では、積極財政による成長促進が期待される一方で、財政健全化との両立が課題となるでしょう。

安全保障面では、防衛力の強化や経済安全保障の推進により、日本の国際的な立場が変化する可能性があります。

社会面では、全世代型社会保障の実現により、少子高齢化社会への対応が進む可能性があります。

また、憲法改正が実現すれば、日本の国家体制に大きな変革がもたらされることになるでしょう。

一方で、高市氏の政策には多くの課題も存在します。国際協調、国民の合意形成など、乗り越えるべきハードルは決して低くありません。

また、保守色の強い政策は、国内外で賛否両論を呼ぶ可能性が高いでしょう。高市氏の政策が日本の未来にどのような影響を与えるかは、今後の政治情勢や国民の選択にかかっています。

有権者一人一人が、高市氏の政策を含む各候補の主張を慎重に吟味し、日本の進むべき道を選択することが求められています。次期自民党総裁選に向けて、高市氏の政策がどのように評価され、他の候補者との違いがどのように受け止められるか、今後の展開に注目が集まるでしょう。

高市早苗のプロフィール

高市早苗氏の詳細なプロフィールは以下の通りです：学歴：

• 奈良県立畝傍高校卒業
• 神戸大学経営学部経営学科卒業（経営数学専攻）
• （財）松下政経塾卒塾

職歴：

• 1993年7月：衆議院議員初当選（第40回総選挙）
• 1998年7月：通商産業政務次官（小渕内閣・小渕第1次改造内閣）
• 2001年1月：衆議院文部科学委員長
• 2002年10月：経済産業副大臣（第1次小泉第1次改造内閣）
• 2004年4月：近畿大学経済学部教授
• 2006年9月：内閣府特命担当大臣（第1次安倍内閣）
• 2008年8月：経済産業副大臣（福田改造内閣・麻生内閣）
• 2012年12月：自由民主党政務調査会長
• 2014年9月～2017年8月：総務大臣（第2次安倍改造内閣、第3次安倍内閣、第3次安倍第1次改造内閣、第3次安倍第2次改造内閣）
• 2019年9月～2020年9月：総務大臣（第4次安倍第2次改造内閣）
• 2021年10月～2022年8月：自由民主党政務調査会長
• 2022年8月～現在：経済安全保障担当大臣・内閣府特命担当大臣

主な業績：

• 総務大臣として、マイナンバー制度の導入や地方創生の推進に尽力
• 経済安全保障担当大臣として、経済安全保障推進法の成立に貢献
• 自民党政調会長として、党の政策立案を主導
• 「自由で開かれたインド太平洋」構想の推進
• 憲法改正や皇室典範改正への積極的な姿勢

著書：

• 『国力研究 日本列島を、強く豊かに。』（産経新聞出版）編著
• 『日本の経済安全保障 国家国民を守る黄金律』（飛鳥新社）
• 『美しく、強く、成長する国へ。 私の「日本経済強靭化計画」』(WAC BUNKO)
• 『サイバー攻撃から暮らしを守れ！』（PHP研究所）編著

その他：

• 1961年3月7日生まれ（奈良県出身）
• 衆議院議員9期目（奈良県第2区選出）
• 米国連邦議会Congressional Fellow（金融・ビジネス）を経験
• ソムリエ・ドヌールの資格を持つ

高市氏は、保守派として知られ、経済安全保障や憲法改正に積極的な姿勢を示しています。また、総務大臣としての経験や自民党政調会長としての実績から、幅広い政策立案能力を持つことで評価されています。